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武蔵野独り暮らし、日々雑感。
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 というわけで前エントリに続き、ひさびさに寄席に行ったハナシ。

 今年の始めにちょっと筆舌に尽くし難い苦難があってまあそれはなんとか乗り切って今日があってそこらへんはもうだいじょうぶマイ・フレンドなのだけど、凄いものでニンゲン、そういう時にはまったく笑わなくなるものなんだよね。どんなに落語をはじめとする笑いが好きで、ふだんは「笑いは苦難を乗り越えるものだ」なんてしたり顔で言っていたりしても。
 でまあここに至って以前にも増しての笑いを取り戻したり寄席なんぞにも出かけてみようかという気になったのは、自分で苦難を乗り越えようという努力であるとか戦いであるとかがあっての賜物だもの人間だものみつをと俺は本当に自負するし自分で自分を褒めてやりたいと思っているのだが、そうした自助努力と同時にまた大事なもの……いや、感謝するものたちがある。

 それが、藝術と友情だ。

 前者で言えば、今回は自身の復活の流れの中で出会った物語たちがあった。
『風立ちぬ』『夫婦善哉』そして『あまちゃん』。
 この三作品に復活し始めた初夏から盛夏そして秋口に到る中で出会え、時間を共に過ごせたことはとても大きい。今年の夏というか今年という——おそらくは俺にとって最大の試練の年——を象徴する作品たちだと言っても過言ではない。どれだけの泪と洟を流したかしらない。大袈裟ではなく、俺は俺の後半生をこの作品たちのように生きるべきだと思い決意した。
(こうしてまたブログを1年半以上ぶりに復活させようと思ったのも、これらの影響があると言っていい)

 そして後者。
 上記の物語たちともまた二重螺旋を描くように現実においても俺が救われた人々などは数限りなくて本当に皆に感謝なのだが、それらの交歓の中で分けても感謝したいのが、とある二組の夫婦。
 かたや出会いでありこなたますますの深みの発見であるのだが、どちらにも共通して言えることは、ベクトルが似ているということだ。その生活《くらし》も、愉悦《たのしみ》も。
 蛇足ながら双方ともあくまでも〝俺〟が媒介であり互いに世界に在るわけではないのだが、それぞれとの交歓の中で俺にとってどちらもこの上なく大切な存在であると考えたし、すべてを語ろうと思い伝えた。そしてどちらもちゃあんと俺を受けとめてくれてまた俺もまた——たぶん——それぞれの夫婦にとって大切なヒトとしてのポジションを獲得出来たと考えている。

 だから、今回の俺の「寄席復活』において、東の夫婦と西の夫婦双方に、声をかけた。
 これがまた、どちらも落語には一家言ある夫婦でねえ(笑)

 そんなわけで末廣亭入り前からの伊勢丹デパ地下での食料買いだしと昼餉、そして昼席中入り前から末廣亭入りして夜席のハネまでという強行軍にも付き合えてもらえたし(尻が痛くなりましたなあご同輩)、また十分以上に寄席を楽しんでもらえ、かつまたそのあとのおそ松人数での飲みでもまた、互いに馬鹿ァ言い合って腹がよじれて死ぬかという時間を過ごしましたさ。

 俺は幸せ者だと思う。俺は負けない、おめいらの友情が俺を支えているからだウルトラの星光る時(笑)

 ありがとう。ぜひ今後ともよろしくな!!

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日付を二つ跨いで既に一昨日の話になってしまったが、ひさしぶりに寄席に行った。
 新宿末廣亭10月上席。同じ末廣亭に昨年10月2日に行ったのが直近だから、約1年ぶりの寄席ということになる。

 いやあ、やっぱり寄席はいいですね。

「落語を聴く」ということでいえば上記よりあとにも独演会や落語会などにいくつか通ったし無論CDやTVでも〝経験〟はしているわけだが、やはり寄席には寄席ならではの空気と魅力がある。ベンヤミン的に言えば「アウラ」が違うんだな。俺もそんなに数を経験しているわけでもないので偉そうなことは言えないが、やはり落語と演芸は寄席を〝体感〟してナンボだろうと思う。
 さらに昨年を思い出して「ああそういえば」と思い出したのだが、この時期は「新真打の披露興行」に当る。今回もまた図らずも〝あの〟川柳川柳師匠の唯一の弟子である川柳つくし師匠の真打披露《おひろめ》に当り、その華やいだ雰囲気に身も心も幸福感に満たされたというわけだ。実を言えば俺にとって落語のライヴ——つまり生で聴くのも今年は初めてだったのだが、その〝復活〟がこのような形でもたらされたのは、大袈裟ではなく「生きてて良かった」と思わせてくれるものだった。
 様々なものたちに、感謝なのである。

 その詳細はまたのちに譲るとして、今回ひさびさの寄席行きを末廣亭10月上席夜と決めたのは、そのウェブサイトを見て出演が豪華だなこりゃと思ったからだ。
 ことに中入り前の川柳川柳と柳亭市馬の両師匠の名前と、そして〝交代出演〟でひょっとすると柳家小三治師匠かもしれないということ。小三治はとどのつまり叶わなかったが他にも錚々たる面々が名を連ねていて、我が寄席復活に相応しいと思ったことがある。
 そして更にまったくこれが寄席の醍醐味というか蓋を開けてみなければわからないというかなのだが、上記で語った新真打披露興行の時期のタイミングというわちゃわちゃ(笑)が俺にとって素晴しい結果をもたらしてくれた。これがまたどうにも、ね。

 正直なところ今回の主任《トリ》である川柳つくし師匠についてはお名前も存じ上げなったし、そも事前にウェブで調べていた際に「主任は交代出演」ということで目的ではなかった。現地入りして初めてああ真打披露興行なのだなと気づいたほどでつくし師匠には振り返ってみて申し訳ない気持ちでいっぱいなのだが、俺にとって川柳と市馬の名前が並んでいるだけで〝復活〟は十分だった。ことに落語といえば『笑点』かせめても新春特番ぐらいしか思いつかない人々にとっては馴染が無いだろうが、両師匠ともにまあ知っとかなきゃ駄目でしょうという重鎮であり、俺は双方ともに主任興行や独演会にわざわざ行ったほどに敬愛する噺家だ。

 で、その二人が名を連ねる「夜席」が始まり、前座そして二つ目(古今亭志ん吉)が終わって次に最初の色物の際、本来の出演予定であった手品のアサダ二世さんではなく擬声漫談のひびきわたるさんが出演出てきて「おや?」と思い、さらにその次を迎えて俺は得心した。
 本来は俺もBS-TBS『落語研究会』で何度か拝見している桃月庵白酒師匠の筈なのにやけに細い白酒師匠が出てきたなと思ってよく見たら、なんとこれまた大好きで応援もしている若手真打の成長株である柳家三三師匠!……続けて三遊亭白鳥の筈が入船亭扇辰師匠というわけでやたら「代演」が多い。ははぁん東京四大寄席(浅草演芸ホール、鈴本演芸場、池袋演芸場、そして末廣亭)での真打披露興行の持ち回りで出演者がわちゃわちゃになってるなと(笑)。ああ本当に俺はいま独演会とかではなくて寄席にいるのだなあと、そのアウラ感にしみじみと嬉しくなり始めたわけだ。
 続けてこれもまた目的の一つであったすず風にゃん子・金魚の毎度お馴染な元気一杯のステージで爆笑し初音亭左橋師匠の口演を聴いて、そのあとにまたぶっとんだのなんの!
 本来は柳家喬太郎師匠の筈が「めくり」に表示されたのは『菊之丞』!……そう、我らが古今亭菊之丞師匠なのだった!!

 もうね、死ぬかと思った。

 菊之丞師匠といえばこれもまた詳細は別途だが、当日同席した「鴻池の猫」たる〝東の義理の弟夫妻〟と様々な思い出がある噺家だ。なんか当日足を運ぶ前から出演予定に名前は連ねてはいなかったがなんとなく師匠は聴けるんじゃねえかなあという予感はしていたんだが(それをフォースという)、まさか本当に聴けるとは。しかも約1年ぶりに出会ったその芸『親子酒』はますます精進を重ねたのだろう。『目黒のさんま』ではないが今この現在この年齢の菊之丞でしか聴けないだろうという脂の乗り切った口演で、いろんな意味で全俺が泣いた。けっして大袈裟ではなくね。
 続けてハナには間に合わなかったのだろうがこの時間には出演できるようになったのだろうアサダ二世さんの控えめな手品(林家ぺーの代演。それはそれで観たかった)を経て、お楽しみの川柳師匠『ガーコン』!——いつもより歌が多く嬉しそうだったな。やっぱり愛する愛弟子たるつくしの真打披露がたまらなく嬉しかったのだろうエロ爺さん(笑)。俺もガーコン歴はそう多くはないが、これまで聴いた中で一番素敵なガーコンだったな。師匠、いつまでもお元気で反骨で。
 そして中入り前の市馬師匠。地口《ダジャレ》系の噺ながら、さすがの貫録と空気を読む感じ。軽く演じながらも本興行の華やぎ寿ぎをきっちりと踏まえてばぁっと盛り上げて、かつぐぐぐいっと次の真打披露《おひろめ》へと座を盛り上げる——俺の大好きな四文字熟語で言えば「一座建立」を作り上げる感はもう、舌を巻くしかない。歌ったし(笑)。昼席で演じた六代目には申し訳ないが、早いトコ「小さん」を継いでくださいよまったく。つか、俺としては「市馬」が大名跡になってもまったくいいんですけど。

 ……というわけで(?)このあとのお披露目から何からまだまだ綴りたいことはたくさんあるだが、とりあえずほぼ1年半ぶりのエントリは、眠いし頭も回らなくなってきたし酒も切れそうなんで(笑)まずはここまで。
 
 ちゃんと続けるつもりなんで、次を刮目して待て!!

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