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武蔵野独り暮らし、日々雑感。
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 今年の始め。
 オフクロ(後期高齢者後期)にiPad 2(Wi-Fi + 3G)をくれてやった。

 正月に顔を出したおり、前日に訪問した孫(=俺の次女。社会人2年目)のiPhoneを見たり数十年来通っているカトリック教会で懇意にしている人が導入したスマートフォンやらを見たりしたらしく、なんやらそうしたものに興味がありそうなことをぶつぶつ呟き始めた——twitterではない——のがきっかけというか起爆剤。
「アンタのそれは何?」
「これはiPhone。○○○(下の娘)が使ってるのと同じだよ」
「アタシにも使えるかしら」
「うーん、iPhoneでも使えるかもしんないけど、iPadのほうがいいかもなー。画面が大きいし」
 といった会話がありさらに、
「○○さん(教会で懇意にしているオフクロよりふた回りぐらい下の前期後期高齢者男性)はパソコンっいうの?……なんか勉強して頑張ってるみたいだけど」
「その気があるなら教えてやるぜ」
 といったやりとりがあったのだが、その後やれパソコンを使うならWindowsはやめたほうがいいだの、これからオフクロがそっち方面に手を出すならばMacさえも飛び越えてiPadのほうが望ましいだの、そしてさらに俺もよせばいいのにAppleの歴史や哲学などを語りここに来て高齢者がiPadに手を出すケースが多いことを説明したら、iPadに興味を持った次第。

 この経緯には、いわゆるITをまったく理解・体験しておらず、数年前にようやっと携帯を持ったにせよやっとワンタッチボタンで俺に電話をかけることしか出来ない彼女に対し、俺に寄せる“面倒”を緩和できるかもしれないという思惑があったからだ。

 何せこちらの都合も考えずにちょっとした用事で電話をかけてくる。それがまず迷惑なのだが、その電話の理由のひとつに現在アメリカ留学している上の娘の消息を知りたいなどというものもあって、このことについては俺自身だってFacebookで彼女の近況を知るしかないわけで……まあつまりオフクロがiPadを入手すればその辺りが若干でも緩和できるかもしれないという期待というやつ。

 で、全体的な流れとしてはなかなかいい感じになってきて、本人iPad買う気満々になってきて「よしよし」と思っていたら、最後のさいごに「金が無い」という大逆転。
 そしてさらにそれが年寄りというものなのだがこれまでの自身が息子や孫にしてきたことなどの実績自慢や恨み節などが始まった日にゃあ、
「うるせえわかったよ! 俺が買ってやる!!」
 という展開になったという次第。
 ま、俺もいいかげん放蕩息子だったし、そのぐらいはな、と。

 というわけで俺の居所地元で当時実施されていたソフトバンクの「新 アレ コレ ソレ キャンペーン」にて上記を購入、数日後に届けたというわけだ。

 まあ正直いえば俺自身が爪に火を灯す生活の中でのソフトバンクへの支払いが毎月ゴセンマンエン弱ほど増えるわけで逡巡しなくもなかったのだが、とどのつまりよかったなと思う。「いまのところ」という括弧付きだが。

 つづめていうと、「オモロイ(©善作@『カーネーション』)」のだ。

 いやなんつうか上記の思惑とは逆に俺個人の時間や肉体的負担は増えることになったのだけど(笑)、変なハナシだがAppleが最も↓な時代にそれを主とするテクニカルライターを経験し先のエントリ(→)でも綴ったような経験があり、そしてかのジョブたんがiPad初号機を発表したときのラストの言葉、
「テクノロジとリベラルアーツの交点」
 にボロボロ落涙した俺にとって、今更ながらまさにきょう(昨日)のハナシだが、
「ホームページってのがよくわからないのよね」
 と宣《のたま》う、今週の『カーネーション』の糸子や奈津とほぼ同い年のオフクロにITと、ことにAppleを伝えることがたまらなく面白い。

 例えば「メール」という俺らが日常あたりまえに使っている言葉さえ、そこからまず説明しなければならない。
「メールってのは、手紙って意味だよ」
 といったところで、それですぐに理解されるわけではない。メーラーを起動してメールをチェックする(=iPadでいえば「メール」アプリをタップする)ということひとつにしても、
「オフクロがよたよたと悪い足で寒い中を外のポストを見にいくでしょ? それと同じなんだよ。この『メール』をぽんってしないと、メールつまり手紙は読めないんだよ」
 といったことから始めければならない。
 面倒くさいが、それがまたいい。

 これ以上の詳細は割愛するが、なんのIT系知識も無い90歳になんなんとするしかも同居をしていないご婦人に短い時間をしてiPadの使いかたを教えるということは、激烈に困難だ。
 がしかし、エキサイティングでもある。

 面白いことに、iPadをしてもオフクロがすぐに理解できるメタファやインターフェイスもあれば、なかなか理解できないものもある。
 そしてAppleそして何よりジョブたんってのは、こういうことを常に求めどうしたらいいかを考え続けている(た)のだと、あらためて思う。俺自身が、いい勉強をしているのだ。

 Macintosh誕生以前の俺の大好きな“伝説”のひとつに、マウスのボタンをいくつにするかについて、Appleは4歳の女の子から84歳までご婦人に対し数年かけてモニタリングしたというのがある。
 そしてとどのつまり、「1つがいい」。
 多くは語らないが、大事なことだと思う。

 そしてきょう「へえ〜っ!!」と思ったのだが、オフクロにiPadの「タップ」をさせると、いうことをきかないことが多い。
 なぜかといえば、彼女はタップを“押し込み過ぎる”んだよな。例えばメールの送信ボタンを“ぽんっ”と触れてすぐに指を放せばいいものを、“ぐぐっ”と押しすぎる。そうすると、何の反応もしない。
 それは彼女のIT機器に対する「畏れ」なのかなとも思ったのだが、Appleが提供しているタッチ操作の微妙な“匙加減”等々は出来る立場からすれば単純行為だが、それでも“取りこぼし”はある。この辺りは、今後のAppleの課題だろうな。
(だから音声かもしれないが、それが正解とも限らない)

 さてところで基本的には俺がオフクロと同居するなりもっと頻々に通うなりすれば、いわゆる”拾得”はもっと早いかもしれない。
 が、それがなかなかどうしてというのが、
「人、生きる。」
 なのだな。正論だけではないのだ世の中は。

 とまれ今宵の3時間ほどのレクチャで、オフクロはなんとかメールの送受信については拾得した模様。明日——というかすでにきょうだが——テストをする。

 さらにところで。

 iPadを“手渡す”にあたり、オフクロにとっての未知の道具に対していかに“あきらめない”かを逡巡したものだ。

 その辺りの経緯についてはtwitterではつぶやいていたが、それはまた稿を譲る。
 とまれまず考えたのが、俺自身にも大きな影響を与えているところの、“文学少女”としてのオフクロ。
 だから譲渡時にアプリ「i文庫HD」をインストールし『青空文庫』の読みかたをまずレクチャした。わかったような、わかってないような感じだったが。あと、音楽の聴きかた(オフクロが好きそうな曲は入れといた)

 そしてきょうのレクチャの中でオフクロがふといった。
「メールとかホームページとかはよくわかんないけど、青空文庫は読んでるよ」
 いや、これはぐっと来た。
「アンタ、えらいよ! そんなばあさんは、そんなにいねえぜ!!」
 と、言葉にもした。

 あえて多くは語るまい。
 きょうのレクチャはメールについてだったが、たとえそれが会得されないにせよ、よしよしと思うわけだね。

 ITデバイスはヒトをしあわせにしてこそのモノってなハナシであって、ここまで綴ってきたような半ば以上に心象的なもんがあっても、それはそれでいいじゃねえた。是か非か、性か否か——そんないわゆるデジタルでは語れないものをもたらしてくれるから、俺はAppleが好きだ。そんなことを、あらためて思った。

 まあ今後ばばあがくたばるまで面倒みなきゃいけねえのか俺とか現象的にはややこしいもんも多々あるが、まあまあまずまず、い〜い感じに“俺が出来ること”をしてるかな……なんて、ちっと考えた次第。

 というわけで、オフクロがiPad入手について“手書き”で教会報に載せたらしい文章を。拡張子が「.htm」ってあたりが1990年代、Windows 98とか臭いっすね(笑)
http://www10.plala.or.jp/cathkasu/timote.htm

拍手[9回]

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コメント
参考になります!
こんにちは。私のブログに関するつぶやきからたどり着きました。祖母(84)に渡すときの参考にしたいと思います。(月々の支払いは自分の両親を頼ってしまいそうですが…)
教会報のコメントがまた良いですね。
しかしi文庫(青空文庫)やはり鉄板ですね。概念が明確だからでしょうかね。ITに疎い母(57)もまずは青空文庫でした。
【2012/03/21 23:31】 NAME[ブルース] WEBLINK[URL] EDIT[]


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