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武蔵野独り暮らし、日々雑感。
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 去る2月の3日、節分。
 進駐軍時代から続く立川のバー『潮』に、マスター“ジミー”さんの誕生日をお祝いに行ったのはブログでも綴った。(→)

 ところでこの『潮』、ビルの地下1階でさらに奥まった構造なので、ご多分に漏れずソフトバンクモバイルはバリバリに圏外となる(笑)
 まあキャバクラじゃあるまいしオーセンティックなバーではチンチンiPhoneをいじくるよりもゆったりとグラスを傾けたいところなので別段それはそれでいっこうにかまわないのだが、ビル共同のトイレに出たついでに店外では電波が入るためtwitterをチェックしたら、同行した親友がしっかりと店内から、
「潮なう。」
 とかつぶやいていた(笑)

 ヤツも同じソフトバンクiPhoneなので「はて?」とちょっと思ったのだが、すぐにハタと気づいた。
 ああなるほど、たしかヤツぁドコモ回線のモバイルWi-Fiルータを持っていたなと。
 というわけでさっそく「この野郎、俺にも繋がせろ」ってんで奴さんを恐喝(笑)してWEPだかWPAパスワードを俺のiPhoneを渡して直接入力させ上記エントリを店からアップしたのだが、
「なるほど、これが音に聞くドコモ回線か」
 と、あらためて感じ入ったものだった。

 そもそも俺は昔からi-mode等を含む「ケータイ技術/文化」というものにはあんまり興味と必然性を感じない人で、いわゆるモバイル端末についても、現在《いま》でいうスマホ的な“機能”を最重要視してきた。
 つまり、
「パソコンと同じく、本来的なインターネット(The Internet)を利用できること」
 この辺りについては語りだすと長くなるからハショるが、だから俺の中での価値観として携帯のキャリアなんて二の次三の次であって、フルブラウザやPOPメールに対応したウィルコムのPHSやスマートフォンを遍歴し、iPhoneも“iPhoneだから”選択したという経緯がある。
 つまるところ、電波の繋がり具合云々よりもデバイスの可能性を重要視するってハナシ。
 別にねえ、上記のバーでのスタンスじゃないが俺は電波が繋がらなければ、
「本を読め、星を眺めろ。」
 な人だから。
(だから未だに「iPhoneはドコモじゃないから」とか「ドコモから出ればiPhoneにする」とかいってる人々は、マジ不幸だと思う。大事なのは、ユーザ体験)

 さてところで上記の節分より2日前、つまり2月になっていきなり発表された、
『BIGLOBE 3G』
 に、ニュースリリースを見た瞬間に脊髄反射(笑)で申し込みをした俺がいるわけですよまたいっぽうで(笑)

 2009年の8月にいまもこのエントリを綴っているところのMacBook Air(MBA)第二期版を購入したのだが、少し遅れた11月に、いわゆるノマドワークのためにイー・モバイルの「Pocket WiFi(初号機)」を契約した。
 これはこれでその後のiPad Wi-Fiモデル(初号機)含め大活躍をしたのだけど、昨年11月に2年縛りが切れるにあたり完全解約をして、以来しばし、MBAやiPadはモバイルインターネットの環境が無かったわけだ。
 で、その間にやれ「So-net 3G」だとか「イオンSIM」だとか色々と逡巡してきたのだけれど、BIGLOBE 3Gはやっとこさ俺のニーズと懐具合に合ったものだと考え、契約した次第。
 
 サービスの詳細は上記リンクにて確認してもらいたいものだが、やっぱ低廉でかつドコモ回線のMVNO(回線借り受け)であるのが大きい。しかも俺が申し込んだプランでは——2年縛りが発生するものの——ルータ(端末)も無料という太っ腹サービス。
(そもSIMフリー端末を所有している人にとってはこの直後に発表されたIIJmioの『高速モバイル/D』なんかも訴求力があると思うが、そも端末を所有していない立場からすると端末がタダでもらえるBIGLOBE 3Gはトータルでいいと思う)

 回線速度やら料金等々についてはそこは算盤の問題で他にも選択肢が多々あると思う——たとえば数日前に発表されたソフトバンクの『ULTRA Wi-Fi 4G』なんてのはいわば「iPhone割り」みたいなんもあるし十分以上に魅力的——だが、俺個人としてはここはやっぱり前言撤回もはなはだしいが(笑)、
「繋がる」
 と料金等々の“バランス”を選んだ次第。つまりは、
「この料金で小笠原父島でもiPhone使えるならいいんじゃね?」
 って感じ。

 つーかですねー、まあ何だかんだいいながら真鶴半島の突端でも、つぶやければいいなあと。
(あえてtwitter封印してあらためて思うのは、瞬間風速的心象の発露がいかに大事かってこと。ま、もうちっとストイックに行くけど)

 というわけでとりあえず、BIGLOBE 3Gにはまずまず満足してるよってなハナシ。

 本エントリに関しては質疑応答大歓迎。俺も暗中模索なう。


蛇足:
 ところできょうはいよいよ地デジ化で空いた“プラチナバンド”たる900MHz帯をどこが獲得するか発表される日。
 禿(ソフトバンク)頑張れ!……つか、禿以外だったら怒るよマジ俺。

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 ひと月ほど前にCSでたまたま『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』をひさびさに観て以来、ノスタルジア系の映画にハマっているのは以前にも綴ったとおり。

 で、もうひとつ俺の中で波及したのが、「アメリカ近現代史」への興味(って、ことアメリカ合衆国に関しては近現代史しかないんすけど、もうちっとな側面も含め)
 ことに、いわゆる裏面史——歴史の教科書などでは語られない、民衆の歴史だ。

 正直いって俺のこれまでの人生の中でアメリカ史ってのは日本や欧州のそれに比較してあんまり興味が無かった。
 が、何がきっかけだったか忘れたがこの一年ほど前から何となく心の奥底にくすぶりはじめ、同じく数ヶ月前からの映画音楽へのひさびさのマイブームやら、或る日のGoogleロゴがマーク・トウェインだったりしたこと、そして米軍基地時代の立川への興味から、ここに来て一気に燃え上がった感がある。

 そうなると——これはまあ何においてもそうなのだが——俺の“とば口”のテキストとなるのはまず映画(笑)
 というわけで今宵、6〜7年以上前に観たこともないままにDVDを購入しさらにこれまでプレーヤに乗せることの無かった(どーなのそれ)、
『ギャング・オブ・ニューヨーク』
 を観てみた。

 いんやぁーっ! 面白かった!!

 世間的にはそう評価は高くないようだし俺も正直なところ大名作だとは思わないが、これはどうにも“いまの俺”にはハマる作品だった。

 物語の舞台は19世紀半ばのニューヨーク。
 1848年(北斎の最晩年)に前日譚があり、1862〜63年(国芳や広重の晩年)がメインとなる。南北戦争時代であり、日本でいえば幕末。高杉晋作とか坂本竜馬とか新撰組だとかが活躍する、ちょっと前。(1862年は「寺田屋事件」の年)

 5本の道が交差する街の利権を暴力によって争うハナシなのだが、なんつーかこう、当時のニューヨークってなあ、日本に負けず劣らず、野蛮な時代だったんですね。まあびっくり。

 もちろんマーティン・スコセッシ監督ならではの、あるいは映画的誇張はあるにせよ、抗争する二代勢力が飛び道具を拒否して刃物で闘うのを選ぶとか、自警消防団(つまりは「火消し」だ)が現場で喧嘩になるとか、いやまったく、
「江戸かっ!!??」
 と、ツッコミたくなることしきり。
(手にしている武器《えもの》がいちいちマンガ『無限の住人』みたいなんも素敵w)

 物語の縦軸は父を殺された主人公の復讐譚なのだが、横軸としてちゃあんと当時のアメリカの歴史を描いているのもいい。“敵”が米英戦争を立脚点としてるとか大きな主題が移民問題とかあるいは奴隷解放とかまだ西部ではドンパチやっていた中での東部での選挙/民主主義の試みなんて辺りを混ぜているのは、まあ当たり前といえばあたりまえかもしらんがとてもよろしい。
 さらにいえばヒロインが使う短銃がリンカーン暗殺に使われたものと同型なんてあたりもまた、歴史好きな銃器おたく大喜びなポイントだったりする(笑)

 正直なところ全体として1960年代後半〜1980年代前半辺りの同種のアメリカ映画に見られる“尖った雰囲気”が足りないのが惜しいところだが、まあ観といて損は無いと思いますよ奥さん!
 こっからまた、俺自身がどう展開していくのかも楽しみ。

 いやそれにしても、ダニエル・デイ=ルイスは相変わらず凄い役者だ。
 Wikipediaによれば本作品の前には俳優業を引退して靴の職人になるべく修業をしていたそうだが(って、何だそれw)、5年のブランクをモノともしない圧倒的な存在感。
 俺はディカプリオ作品はそう多く観てはいないがその中でも彼の最もいい演技だと思う本作だが、そのディカプリオを遙かに凌駕する。
 デイ=ルイスの新作、もっと観たいな。

 とまれますます、アメリカ史を知りたくなる作品であった。

 どんなにナニしようとユナイテッド・ステイツ・オブ・アメーリカは“だんでぃ”な国ではないんでヨーロピアン・エレガンスと江戸の混血(笑)な俺の人生ではシカトし続けるつもりだったんだけど、まあやっぱ面白いなあ。

 やんぬるかな。

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 1970年代後期。
 ジョージ・ルーカスやスティーブン・スピルバーグ等々から始まった“新時代(当時比)”のSF映画ブームがあって、それに乗っかって日本でも『宇宙からのメッセージ』とか『宇宙大怪獣ガメラ』といった作品が作られた。
 それはそれで現代から振り返ると面白いっちゃあ面白いんだが、もういかにもパチもんで、いやー困ったもんだなーと、当時いっぱしの映画マニアだった俺は頭を抱えたもんだ。

 で、いよいよ1970年代も終わらんとしている頃に『未来少年コナン(1978)』とか『機動戦士ガンダム(1979)』といった現代にも続く「世界に通用する日本的SF/アニメの言葉」を得た作品があったわけだが、実はこれらの作品はことマスにおいては1980年代に入ってから高い評価を得るに到ったわけだ。

 細かいことを言いだすとキリが無いのだけれども、NHKドラマの「少年SFシリーズ」とか、萩尾望都とか諸星大二郎とか星野之宣とか大友克洋とか、いわゆる“本格SF”の土壌は1970年代前半——あるいはもっと前——から小説作品のみならず色んな場所で表出されていたにも関わらず、なかなかそれが省みられなかった。
 当時の価値観から言えば、大映画会社で実写映画化されない……かな。

 1970年代半ばにはかの『宇宙戦艦ヤマト』の大ブームもあって編集編が劇場公開され翌年にはオリジナル劇場アニメも作られたのだけど、こと実写のSF作品と言えば先述の作品たちのような、なんかもう“とほほ”なものたちばかりだった。アニメがどんどんクオリティを上げているにも関わらず。
 もちろん当時のハリウッドに匹敵する予算を“実写SF”において捻出できなかったというのもあるだろう。がしかしやはりそこは“受け手”はしっかり観ているもので、「ハリウッドのパチもんSF特撮よりも日本製SFとかアニメ」に指向するのはむべなるかな。

「グローバルに通用するSFかどうかはとりあえずわかんないけど、俺らこれが好きだしぃ」が、あったかな。
 このことが、現代にまで連綿とこの国のサブカルチャに良い意味でも悪い意味でも影響していると思う。

 さて——

 CS「チャンネルNECO」で今宵放送された『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』なる作品をたまさか観た。

 駄目過ぎる。

 もうね、駄目な点はいくらでも出せるがやっぱ最も駄目なのは、
「ハリウッドとかウケてるモノの安っぽいパチもんでしかない」
 ってことだ。
「スター・ウォーズ」「スパイダーマン(2000年代シリーズ)」「ロード・オブ・ザ・リング」の各シリーズ。あるいは『ONE PIECE』のパチもんである「ジャック・スパロー」シリーズとか。

 いやまあそんな目くじら立てず潮吹かずかもしんないんすけど、「ウルトラ」は違うんだよ!!

 なんで「アブラハムの宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)」が到達しえなかった「光の巨人」とか「でかいもんが暴れまくる」いう概念をずっと通奏的に抱えていて大事にしていた俺ら地震と火山と津波の民の心もちが、安っぽい善/悪あるいは光/闇に堕さなきゃいかんのかと。
「フォース」は大好きなんだが、曲解は嫌いだ。

 昨今のウルトラシリーズに限らず21世紀の仮面ライダーシリーズとか、いちいち落とし所が、
「宇宙の大いなる力」
 とかいうのが気にくわない。そもそもウルトラマンとか仮面ライダーとかのきっかけとは別なんだよな。矢追純一かよ(笑)

「人、生きる。」をばかにするな。

『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』の前にこれもまたたまさか放送されてたアニメ『ガンバとカワウソの冒険』を観たのだけど、アニメとしては駄目ながら燃えたよ。
(そもそも小説『冒険者たち ガンパと15匹の仲間』は読めと)

 うん、まあいいや。

 俺、一昨昨日から腸閉塞で死んでるんで、“会話を期待するリプライ(笑)”は止めてな。しんどいんで。

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 4回シリーズで放送中の、表題のNHKスペシャルがとても面白い。

 文字通り我ら「ホモ・サピエンス」が他の生物(ネアンデルタール人等の生物学的近隣種も含んで)と違い、何をして“現代の我々に到っているのか”を検証する、そんな番組。

 ま、斜めに見るといかにも——ことに演出技法として『NHKスペシャル』的な——短絡や感動を導くような、恣意的で小賢しいモンも無くはないのだが、俺個人としてそういうのは大好きなので(笑)、まんまと感動しているわけだ。
(ほら、スペシャリストじゃないけどゼネラリストだから俺w)

 で、この「ヒューマン」がどうして俺をして感動させるかといえば、ヒト=ホモ・サピエンスとその20万年の歴史を多方面・多角的にとらまえて、専門分野のぐいぐいとしたアプローチを紹介し、かつ全体として俯瞰的に分析していて、かつわかりやすく表現しているから。

 こういうの、すごく好きなんだよね。

 かなり蛇足で、かつ昔からの俺のファン(笑)のかたにはミミタコのハナシをちょっと——

 俺はいまや色んな側面において歴史に詳しく、かつ、そのことを多角的に考え言葉に乗せられる人だと自負しているのだが—— 実質的には @buraroman の実散歩の中での俺の“喋り”に表れてると思う——そのきっかけとなったひとつの番組があった。
『46億年の100大ニュース』
 1991年だか1992だか。フジテレビ(CX)系列の深夜枠で古舘伊知郎をナビゲータとして放送された6時間にわたるスペシャル番組だったのだが、これがもう本当に凄かった。
 当時バブルの最後期で——いまから思うと慶長とか元禄とかそして文化/文政に似てるのかもだが——無尽蔵の経済繁栄の中で生まれた番組だが、俺がまず震えたのはそのコンセプト。
 いわゆる教科書上で教わる歴史ではなく、
「“放送当時”のぼくら(笑)に最も影響を与えてる地球史の事件は何?」
 というもの。
 多細胞生物誕生とか酸素系生物とか農業の発明とか貨幣の発明とかバビロンの捕囚とか平均率とかなぜネクタイを締めるのかとかハワイがなぜいまハワイなのかとか第一京浜はなぜ生まれたのかとか……それが色んな表現で——ニュース方式だったりバラエティだったりクイズ番組だったり、トレンディドラマ(笑)だったりで紹介されていたのがまず凄かった。
 ことに俺が目を見開いたのが、当時のフジテレビの女性アナウンサが、下北沢のそう広くない道路の真ん中に立って、
「私はいま、歴史的場所に立っています」
 というパロディニュース。
 西にマクドナルド、東に韓国焼肉屋。
 つまり“人類史上最大の帝国”と言われるチンギスとかフビライとかの侵略が西周りでは東欧にまで達し、「生肉を喰らうのはドイツのハンブルグではそのまま食すのはやだなー。だから火を通そう……ハンブルグ風ステーキ……ハンバーグ」で、東としては元寇とか含め「生肉タタキ食文化」が伝わったと。
 蛇足ながら、ハンバーグもユッケも、原初は同じってハナシ。
 俺、この番組で西廻りと東廻りの食文化の同一性を知り、ウロコがぽろぽろ堕ちたもんだ。

 閑話休題。

 この、『46億年100大ニュース』に類する感動を、俺はこの『ヒューマン なぜ人間になれたのか』 に感じるわけだ。

 兎にも角も、“視点が多角的”。凄く、大事。

 先般、『ヒューマン なぜ人間になれたのか』第1回の再放送を観る機会を得、今宵また第3回を観たのだが、本当に、上記『46億年100大ニュース』に匹敵する、人生観を変えそうかもと思ったシークエンスがあった……

 ……なのだけれども、知力・体力的にその“凄く大事なこと”を、いまこの状態でロジカルに言葉にする体力も知力もないな(笑)
 もとよりそのことを語りたいと思って綴ったエントリなのだけれども、まあいいや。とどのつまり「人、生きる。」だもの。

 この続きは、キンキンケロンパに。

♪重いコンダラ 試練の道を(中略)ドンとイケ、ヒト。
(細心の注意を以て)



 このエントリは、ちゃんと補完したいね。

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外勤め(遅番)を終え、西国分寺の『餃子屋とんぼ』で独り酒。

で、幸いにも店内のテレビで『ブラタモリ』をやっていたので、マスターにお願いして字幕をオンにしてもらって観ているのだが……

今回、大名編じゃないすかこれ!?

もとより水辺の風景が好きでこだわりがあるというのもあるのだが、江戸開闢期から明治そして昭和30年代の高度成長期などの近代史そして現代の小名木川、江東区の治水等々について言及していてどうにも泣ける。

こういった話題については綴りたいことが山ほどにある。

目の前のハイボールが空になるころには放送も終わるだろうから、そうしたら帰還の上、本エントリを追記したいと思う。

乞、ご期待!!


で、写真は今宵の『餃子屋とんぼ』の黒板メニュー、棒餃子ヾ(@⌒ー⌒@)ノ






【というわけで追記なう】

 ……つか、とんぼでは聞こえなかったが、『Let's Ondo Again』がかかっていたのか。布谷文夫追悼としか思えんな。

 さて今回の『ブラタモリ』で紹介された「小名木川」は前々から興味を持っていた。
 そのきっかけとなったのは、白土三平の『カムイ伝 第二部』。

 同作は江戸徳川四代将軍たる家綱の時代が舞台なのだが、カムイを始めとする主要登場人物たちが一時的に揃って外房に逃避行するエピソードがある。
 で、その際にまずエントリするのが小名木川で、最終的に利根川から九十九里浜に抜けることになる。忍びのカムイは途中一行から離脱して霞ヶ浦で一戦かまえることになるのだけれど、いずれにせよ江戸から北東部の河川・水路が「まず小名木川」ということを漠然と理解はしていたのだけれど、今回のブラタモリは本当にその辺りの事情がよくわかるものだった。江戸と周辺の水路物流の、まさに中心であり関所が、小名木川だったんだなあと。

 ご存知のかたにはミミタコだが、現代に到る「にぎり寿司」が江戸中期に誕生した背景には、生醤油の発明というものもある。
 俺はだから江戸初期とかにもタイムトラベルしたいなと思いながらも生醤油が無い時代はちょっとやだなあなどと思っているのだがそれはともかくとして、生醤油が江戸に入ったのは、紀伊和歌山で作られたものが黒潮に乗って千葉の銚子(ヤマサの本拠地)に伝わり、それが利根川を遡って同じ千葉の野田(キッコーマンの本拠地)で発展し、さらにそこから江戸川や中川などを通り、そして小名木川という関所を経て江戸に伝わったと。
 そんなことにまで思いを馳せると、実に感慨深いものがあるわけだ。

 江戸において小名木川を始めとする河川の掘削や日比谷などの海岸線の埋め立ては徳川家康による環境破壊という捉えかたもできなくはないのだけど、ことほど左様に長いスパンで考えると家康のお陰で現代の我々が享受しているものたちはたくさんある。
「やさしい環境破壊」とでもいうべきか。凄い人だねやっぱり。

 で、その環境破壊という視点では、今回の放送で昭和の「地盤沈下」や「水質汚濁」について触れていたのも、たいへんに評価できるところだ。

 近現代史、なかんずく高度成長期のイケイケドンドンの中で、家康や江戸時代全体を通じて大事にされた「水とその風景」が蔑ろにされたのはいうまでもないことで、本当に昭和30年代〜40年代ころというのはひどいものだった。
 かの——龍や麒麟といった霊獣に護られたはずの——日本橋の上に高速道路を造るなんてのはその象徴みたいなものだが、タモリさんも番組中つぶやいた「水辺の風景」を徹底的に破壊したのが上記時代だ。

 過度な地下水の汲み上げによる地盤沈下については俺も4歳〜14歳まで過ごした春日部市の巨大団地で目の当たりにしていて、本当に場所によっては、5mほど“土地が下がった”ものだ。それはそれは、凄絶な光景だった。
 また、小名木川のある江東区や隣りの江戸川区なんてのは当時「海抜0メートル地帯」と呼ばれており、番組中でも紹介されたように、いつでも家屋がフツーに水没するようなものだった。
 さらにいえば工場廃水や、都市部の表層的大発展と裏腹に下水道が未整備であったことによる水質汚濁もひどいもので、江東区、江戸川区、葛飾区、足立区、荒川区、北区なんて辺りの水路はいつも濁っており、雨のひとつも降ろうものなら異臭を放っていた。
 このあたりのことは東宝の「クレージーキャッツシリーズ」の後期作品たちにも如実に描かれているし、また、世の中が大阪万博(EXPO'70)で浮かれたその翌年に公開された東宝映画『ゴジラ対ヘドラ』や、同じ年に放送が始まったところの当初は公害怪獣がメインだったテレビ特撮番組『宇宙猿人ゴリ(のちに『宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン』そして『スペクトルマン』と改題)なんかにも端的に描かれている。

 現代において昭和30年代を描いた作品といえば俺も大好きな映画「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズなんかがあるわけだけれども、かのシリーズで描かれていない——江戸との関連ではないが——「昭和元禄」と浮かれていた当時の、“裏面史”もまたあるとして認識していたほうがいい。
(蛇足ながら「ALWAYS〜」は、あれはあれでいい。根源的に美しいものを美しく描く作品もまた必要なのだ)

 そしてやはりうれしいのは、そうした色んな歴史がありながらも“現在の江東区”が治水対策等々についてちゃんとしており、小名木川の遊歩道などかつての江戸の風景に通じる「親水性」を取り戻しつつあると、ちゃあんと語っているところだ。
 現代においても“これが正解”というのは無いと思うけれども、現在の江東区が東京にしては珍しく人口増加の拠点となっていることはいいことだ。

 人生や歴史というのは失敗するものだが、トライ&エラーを経て正しくあれかしと努力すればそれでいい。
(※原発だけは、エラーは無しね)

 同じようなことは「小名木川を現在も利用している製粉工場」についても感じ入るわけで、トラック輸送の50倍を“水路”を使えば賄えるなんてのは、素敵なハナシだと思う。
 繰り返しになるがかつての「水の都」をないがせにしてきたのが近現代史だとすれば、ここでまたあらためて「水の都・EDO/TOKYO」を取り戻すことを未来に向けて指向すればいいと思う。色々と難しい現在、「潤い」を考えるのもまた必要ではなかろうか?
 火よりも、水を。

「水は好き」——パドメ・アミダラ@『スター・ウォーズ episode II クローンの攻撃』

 江東区が率先して、かつての江戸・東京の「水の都」の姿を明示しつつあるのであれば、それはとてもうれしいことだ。過去・現在・未来という文字通り“流れ”を描いていて、本当に今回の『ブラタモリ』は麗しく感じた次第だ。

 来週もまた、楽しみだね。

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