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武蔵野独り暮らし、日々雑感。
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 以下は2006年08月06日に、夏休みスペシャルとしてmixi日記に連載として綴ったものです。
 最近Twitterで知りあい懇意とさせていただいているかたより「ぜひ読みたい」とのリクエストをいただいたため、ここに再掲するものです。全7回の3回目です。
 原文ママのため、誤字脱字もそのままとします。

◎第1巻「輝ける10年間」(→)
◎第2巻「カギっ子を包むものたち」(→)



 映画『ALWAYS 三丁目の夕日』を初めて観たとき、それこそ冒頭からかなりヤバいシーンの連続で鼻の奥がつんつんしていたのだが、ついに涙腺が大爆発をしたのが、
「ロクちゃんを乗せたミゼットが市電通りから右折して、夕日町へと入った瞬間」
 の1カットであった。そしてこのときぼくは、「もの凄い映画をつくったなあ……」と心から感嘆し、あらためて映画に対し襟を正したものである。

 ぼくの涙腺が人並外れて緩いのは多くのかたがご存知のとおりだが、上記の場面はまあ、いわゆる「泣かせ処」ではない。ぼくも何故そこだったのかがずっと不思議だったのだが、先日武里団地のまさに中心に位置する商店街に立って、その謎が一気に氷解した。ああ、あの場面にぼくは、活気に満ちあふれていた「団地商店街」の幻影を見たのだな、と。

 前回触れたように母子家庭だったこともあって、ぼくの「はじめてのおつかい」は比較的早かったように思える。物心ついたときにはひとり買い物かごをぶらさげ、「豚コマ100」なんていっていた。帰宅の遅いおふくろに代わって日常の買い物をするのは、毎日ではなかったが、小学校までのぼくのルーチンでもあった。で、「お駄賃」などもちゃっかりもらっていたので、勢いお菓子屋さんとも懇意になる(笑)。本屋さん、おもちゃ屋さんでもどちらかというとお得意さん、さらにおふくろが団地内で毎土日に「絵の教室」なども運営していたこともあって、二卵生双生児のおねえさんたちがきりもりする文房具屋さんでも、大いに可愛がられたものである。また、修学してからの給食の無い土曜日にはおふくろの帰宅を待てないため、昼食は中華料理屋さんかおそば屋さんに出かけ、チャーハンかカツ丼もしくは鍋焼きうどんをひとり食べる小学生であった。それらの是非はともかくとして、団地商店街とぼくとの関係は、かなり濃密なものであったといえる。ぼくは、「商店街の子」でもあった。

「町の商店街」というものが素晴らしいのは、単に物品の売買ということにとどまらず、その全体として、「こどもたちの監視」という機能も担っているところだ。お店の人や買い物に来たおとなたちが、商店街を走り回るこどもたちの動向をそれとなく見守っている。もちろんいたずらっ子の常として「いかにおとなたちの目を盗んで悪いことをするか」というのには腐心したものだが(笑)、それとてもまあかわいいもので、いわゆる「道を踏み外す」ということはしなかった。おとなたちはこどもたちを見守り、声をかけ、時に怒ってくれた。だからおふくろも安心してぼくを商店街にゆだねられたのだろうし、ほかの家庭も多かれ少なかれ同じだったはずだ。「昔はよかった…」とばかりいうのはぼくは好きではないが、少なくともこどもたちを育む環境として「町の商店街」がほとんど失われてしまったことは、この国の大きな間違いであると思う。そして過日団地を訪ったときも、日曜の午後とはいえ商店街は閑散とし、ぼくの記憶の中の賑わいは見いだしえなかった。たぶんいまの団地住人は、見違えるように開発されたせんげん台駅前や日光街道沿いの巨大スーパーなどで、日常の買い物をしているのだろう。


 ところで、団地商店街が「表」だとすると、「裏」ともいえるのが「駄菓子屋」と「露天商の人々」であった。今回併せて記すつもりだったが、これについては次回に持ち越したい……



 第4巻「駄菓子屋讃歌」は、近日掲載予定です。

【追記】アップしました。(こちら→)

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